稀少金貨に関する虚偽の説明(2)

※この記事は2015年に公開した記事を再構成したものです。

完全に放置状態のギャラリープレシャス社HPであるが、その中にオレンジピール金貨コレクションというページがある。

オレンジピール金貨コレクション

世界で最も美しい$20金貨 “オレンジピール金貨”


このページには、

既に過去15年間に、市場に存在しますほぼ全ての“オレンジピール金貨”を取り扱ってきておりますが、過去5年以上一枚もこの“オレンジピール金貨”が新規に購入出来ておらず、もはやアメリカ市場には“オレンジピール金貨”は存在していないと判断出来、今後は過去に販売しましたこれら“オレンジピール金貨”を機会あるごとに買戻し、【ギャラリープレシャス稀少コイン美術館】に収蔵し、かつご希望の方には販売していくことにしております。

との説明がある。過去15年間だから、和田氏は稀少金貨ビジネスを始めた頃から”オレンジピール金貨”に注目していたことになる。

しかし、この説明は事実なのであろうか。ギャラリープレシャスHPやNEVADAブログ等で検索してみたが、”オレンジピール金貨”という言葉が登場するのは2013年頃からであり、それ以前については確認することはできなかった。

$20 セントゴーデンズ金貨 1927-P【MS65 AAA級品】≪オレンジピール≫PCGS社鑑定:05204630(2013/07/10販売)

そもそも、和田氏が言うところの”オレンジピール金貨”は米国コイン市場でも認知されているのだろうか。
ギャラリープレシャスHPによれば「金と銅が反応し(金貨は90%が金、10%が銅の含有となっています)、そして極めて偶然の条件が整った時に、“オレンジ色”に輝く」金貨を”オレンジピール金貨”と呼ぶらしい。
一方、PCGS社HPにあるコイン業界用語辞典には”orange-peel surfaces”という項目があり、

Lingo for “O”

PCGS.com – Professional Coin Grading Service is The Premier Internet Site For Collectors of Coins.

orange-peel surfaces
The dimple-textured fields seen on many Proof gold coins; their surfaces resemble those of an orange, hence the descriptive term. Some Mint State gold dollars and three-dollar gold coins exhibit this effect to some degree.
オレンジピールとは、プルーフ金貨に多く見られるくぼみ状の表面のことで、オレンジの皮の表面に似ていることに由来する。MS金貨表面にもある程度この状態が現れる。

と解説している。和田氏の説明と異なり、金貨表面の状態を現すようだ。

もっとも、米国コイン市場において金貨の色が考慮されないという訳ではなく、例えば「オレンジピール金貨コレクション」の中でヘリテイジオークションに登場したことがある以下の金貨については、出品に際し次のような情報が付されている。
$20 1914D MS65(鑑定番号 50168656)
This is a fully lustrous Gem with rich orange gold coloration.(1914D)
これは豊かなオレンジ黄金色に変色した光沢ある宝石のようなコインです。

$20 1923D MS66(鑑定番号 5707112)
This outstanding example boasts intense, satiny luster and nearly flawless surfaces that are bathed in apricot-gold patina. (1923D)
この稀に見るコインは鋭くつやつやとした光沢を放ち、アプリコット黄金色に変色した完璧な表面を持ちます。

$20 1911DD MS65(鑑定番号 14059173)
Satiny luster that enlivens peach-gold and mint-green surfaces. (1911DD)
つやつやとした光沢が桃色がかった黄金色及び鋳造時の緑色表面を際立たせます。

$20 1911D MS65(鑑定番号 07422715)
Pebbly-like surfaces emit blazing luster, and are enlivened by a mix of yellow-and peach-gold colors.(1911D)
小さな窪み状の表面は鋭い光沢を放ち、黄色と桃色がかる黄金色にミックスされた色がそれを際立たせます。

ただし、これら特徴がある金貨であっても下記のとおり、落札価格と標準品価格(PCGS価格)との間に大きな違いはない。当然ながらギャラリープレシャスの販売価格とは著しく乖離している。

年代・グレード GP社販売価格 PCGS価格
オークション落札価格
$20 1914D MS65
鑑定番号:50168656
4,200,000円 $2,941 $2,530
$20 1923D MS66
鑑定番号:5707112
2,500,000円 $2,773 $2,357
$20 1911DD MS65
鑑定番号:14059173
1,000,000円 $2,807 $4,600
$20 1911D MS65
鑑定番号:07422715
900,000円 $2,353 $1,725

 

結局のところ、”オレンジピール金貨”は和田氏が最近になって創案した販売価格を吊り上げるためのセールストークに過ぎないのではないか。
そう考えざるを得ない根拠を挙げる。
上記”オレンジピール金貨”4枚のうち$20 1914D(鑑定番号:50168656)は、ワールドレポートVol.62(2007年7月1日発行)で販売告知されたことがある。

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ギャラリープレシャスHPには

当然の事ながら、価格は汚れがあります金貨とは比べ物にならない程の価格となりますが、奇跡的とも言える美しい≪美術品的価値≫を持ちます金貨にはそれなりの相応しい価格があるのも当然であり、世界最高の美しさに相応しい価格になっています。

とある。”オレンジピール金貨”が「奇跡的とも言える美しい≪美術品的価値≫を持ち」、「世界最高の美しさに相応しい価格」であるならば、当然、当時の商品説明においてもその旨説明があってしかるべきだが、ワールドレポートVol.62内でそのような文言は一切存在しない。

もう一例ご紹介する。

$20 セントゴーデンズ金貨 1916-S【MS65 スーパープレミアム】PCGS社鑑定: 24300807(2012/08/16販売) レアコインギャラリー

 

この金貨は個人所蔵の”オレンジピール金貨”としてギャラリープレシャスHPで紹介されているが、実は2012年にオンラインショップ・プレシャスギャラリーで販売されていたことが判明している。こちらも先程と同様、オレンジピール金貨であるという説明が全く見当たらない。

”オレンジピール金貨”に特別な価値があると考えるのは本人の自由である。しかし、毎年堅調に値上がりしていると言い続ける一方、買取請求の場面になると「稀少金貨の相場が異常に安くなっている」「来年以降は相場が回復すると思われるので今は売却しない方が良い」等々の理由をつけて自身が算定した価格を認めないのは如何なものか。海外出張したり六本木ヒルズのバーで高級ワインを楽しんでいる暇と金があるのなら、役員諸氏には真摯な対応を要求する次第である。

 

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